津村節子氏の新刊『果てなき便り』が文春文庫から出版されました
津村節子『果てなき便り』(令和2年 文春文庫)
装画 尾崎カズミ 装幀 大久保明子
「節子と小説を書く日々、それは僕が生きている日々なのだ」
(津村節子『果てなき便り』令和2年 文春文庫)
「果てなき便り」は、津村節子氏が、夫、吉村昭と交わした書簡から、夫婦作家として歩んだ道のりをたどった随筆です。「図書」(平成26年1月号~平成28年3月号 岩波書店)での連載に加筆し、平成28年に単行本(岩波書店)が刊行されました。
今回、新たに出版された文庫版の帯には、「決意、希望、孤独、慈しみ、愛」という、本書を物語るキーワードが記されています。出会った頃、「コッペパン一箇あったら一生小説を書いていきたい」と話した吉村と、小説を書くことは「いのちをかける仕事」と手紙に記した津村氏。出会いとなった学習院大学文芸部時代から、最後の手紙となった遺書まで。百余通の往復書簡から紡がれた本書は、文学への初志を貫き、互いを思いやりながら、作家として、夫婦として、共に歩んだ二人の軌跡を伝えています。
また、文庫版の「解説」は、ノンフィクション作家である梯久美子氏が担当。「すぐれた伝記」としても読み解かれており、必読の一冊です。
当館提供の写真資料も収録されています。
〇「学習院大学文芸部主催の古典落語鑑賞会」昭和26年10月(津村節子氏蔵)
(9頁「文学はつきつめた戦ひです」掲載)
〇夫婦で行商の旅に出た際に作成したチラシ(津村節子氏蔵)
(83頁「夫婦つて美しいと思ふ」掲載)
〇「神々の沈黙」取材のため南アフリカに向かう吉村を見送る家族 羽田空港で(津村節子氏蔵)
(131頁「帰りたい」掲載)
ぜひ、ご覧ください。
掲載日 令和2年5月5日
更新日 令和2年11月26日
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