【資料紹介】自筆原稿紹介コーナー 第19回 津村節子自筆原稿「茜色の戦記」(画像あり)
吉村昭記念文学館では、常設展示室3階に自筆原稿紹介コーナーを設けています。
このコーナーでは、作家の自筆原稿(複製)を、近い位置からご覧いただくことができます。
第19回は、戦後75年を経た現在、再読したい一冊、津村節子「茜色の戦記」を紹介します。この作品は、太平洋戦争中に女学生時代を過ごした津村節子が、戦争の日々と戦時下の青春を描いた自伝的長篇小説です。
下記掲載のPDFで自筆原稿の画像と資料紹介をご覧いただけます。
「茜色の戦記」について
太平洋戦争中に女学生時代を過ごした津村節子が、戦争の日々と戦時下の青春を描いた自伝的長篇小説です。戦局が緊迫した昭和18年から、終戦を迎える同20年を舞台に、女学校に通う「私」の視点で綴られています。勤労奉仕と学徒動員の体験、気の合う同級生たちとの親交や淡い思慕を寄せた上級生の存在、故郷の福井で父が病死した後、姉妹で疎開した埼玉県入間川町(現狭山市)での生活などが記されています。戦争という異常な日常の中で、少女たちが見出した楽しみやときめき、そして、抱いた深い悲しみと共に、忘れてはならない戦時の記憶が描かれています。この作品は、戦後48年目にあたる平成4年、「新潮」(11月号)に発表されました。津村は、執筆にあたり、在籍した女学校の沿革や、勤労動員先で製作に携わった特殊潜航艇用の転輪羅針儀について、当時の詳細を改めて調査しました。また、同級生をはじめ、ゆかりの人びとと再会し、取材を行いました。「あとがき」では、それらの証言を主要人物に集約したとして、「私は、私たちみんなの戦争を書いたつもりである」と述べています。


(左)『茜色の戦記』(平成4年 新潮社)
(右)『茜色の戦記』(平成6年 新潮文庫)
展示資料No.19 津村節子自筆原稿「茜色の戦記」
今回は、原稿の1枚目(複製)を展示します。自筆原稿「茜色の戦記」の資料紹介(画像あり)をご覧いただけます。こちらをクリックしてください。(PDF 602 KB)
展示期間
令和2年10月16日(金曜)から令和3年1月20日(水曜)
休館日:11月19日(木曜)、12月4日(金曜)、12月29日(火曜)から令和3年1月3日(日曜)
場所
吉村昭記念文学館 3階 常設展示室 自筆原稿紹介コーナー
お知らせ WEB企画展「戦後75年 戦史の証言者たち―吉村昭が記録した戦争体験者の声―」
戦争を通して人間の本質を見つめ続けてきた小説家、吉村昭の戦史小説を紹介します。
吉村昭記念文学館では、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、企画展「戦後75年 戦史の証言者たち―吉村昭が記録した戦争体験者の声―」をウェブサイトで開催しています。お手持ちのパソコンやスマートフォンから、いつでも、ご覧いただけます。
WEB企画展「戦後75年 戦史の証言者たち―吉村昭が記録した戦争体験者の声―」はこちらからご覧ください。
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掲載日 令和2年12月9日
更新日 令和2年12月12日
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