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こころを伝えるツール

年賀状を除いて、最近手紙を受け取ったのはいつですか?早くて便利なEメールや携帯メールが普及して、手紙を書く機会がめっきり減りましたね。 
  手紙は出すには手間がかかります。でもその分、受け取ったときはひときわうれしい気持ちになるはずです。まずはお気に入りの葉書や便箋を用意して、季節に合わせた切手を選び、相手のことを思いながら言葉を選び、手書きする。手紙を出すまでの過程も楽しいものです。 
  手紙の奥深さを感じられ、自分でも書いてみたくなる本をご紹介します。

赤崎水曜日郵便局-見知らぬ誰かとの片道書簡-

楠本智郎/編著  KADOKAWA  2016.2

表紙画像

  あなたにとって、水曜日はどんな一日ですか? 
  週末のような特別感のない一週間の真ん中の水曜日には、わたしたちの何気ない日常が詰まっている、といえるかも知れません。「赤崎水曜日郵便局」は、2013年6月から今年の3月まで熊本県津奈木町の閉校となった海の上の小学校を舞台に実施されていた、住民参加型のアートプロジェクトです。この郵便局には、全国から“水曜日の出来事”が書かれた手紙が届き、スタッフがそれを無作為に交換して再び送り返します。手紙を送った人は、数日後にまったく知らない“誰かの水曜日”の出来事が書かれた手紙を受け取ることになります。 
  この本では、実際に届いた手紙の一部が紹介されています。手書きの文字で綴られた生身の見知らぬ誰かのささやかな日常に触れたとき、とてもあたたかくて心強い気持ちになりました。 
  わたしたちが体験できるのは自分の水曜日だけですが、誰かの水曜日に想いを馳せてみるだけで、いつもとは違った景色を見ることができるのではないでしょうか。

戦地で生きる支えとなった115通の恋文

稲垣麻由美/著  扶桑社  2015.7

表紙画像  自分たちの近況や想いを伝え、相手の身や心情を案じる。時に、面と向かっては言えないようなわがままを綴ってみたり、少し恥ずかしくなるような告白をしてみたり……。この本では、戦地の夫へ向けて、無事の帰還を待つ妻が毎日のように書き綴った手紙が紹介されている。 
  タイトルに『恋文』と称されているように、時折ドキッとさせられるような甘い言葉が綴られたものや、不安や焦りがストレートにぶつけられたものもあり、こっそり秘密を覗いているような罪悪感を持ちつつも、「もし自分が彼女の立場だったら…」と思うと、読み進めずにはいられなかった。 
  手紙が書かれてから80年、メッセージアプリを使えばどこの誰とでも瞬時に繋がることができ、そのメッセージを読んだかどうかもひと目でわかる、とてつもなく便利な時代になった。便利すぎるからこそ、読まれたはずなのに返ってこない返事に苛立ってしまい、昔よりも待つことに耐えられなくなっているように感じる。 
  手紙ならではの“待つ”時間の切なさや素晴らしさを、戦争の遺した傷跡と共に考えてみませんか?

風景印でめぐる江戸・東京散歩-歌川広重『名所江戸百景』のそれから-

古沢保/著  日本郵趣出版  2015.11

表紙画像

  風景印は、全国で約1万1千、東京23区内だけでも350以上の郵便局にあるという。こんなにも多くの風景印が存在することにまず驚いた。風景印のデザインは地元の名所や特産物をモチーフとしており、眺めているだけでも楽しい。本書は歌川広重の『名所江戸百景』から25景を選び、それに風景印を絡めて、その場所の歴史や史跡などを紹介している。そのなかの一つ「千住の大はし」には、荒川区内にある神社も載っている。また、25景それぞれの土地に関連した絵柄の記念切手と組み合わせた「マッチング風景印」は、切手と合わせて一つの芸術作品にも見えてくる。 
  読後、大切な人あてに手紙を書き、記念切手を貼り、風景印を押してもらい、投函したくなった。それからもちろん、風景印ゆかりの地を散策するつもりだ。


掲載日 平成28年12月5日 更新日 平成28年12月9日
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